![]()
こんにちは。花祭窯おかみ&アートエデュケーターふじゆりです。本年もよろしくお願いいたします。
二〇二六年の干支は、午(うま)。なかでも「十干(じっかん)」との組み合わせで「丙午(ひのえうま)」と呼ばれる年です。「丙」は、陰陽五行説で「火」「陽」の特性を持つとされ、明るく活動的なイメージを伴います。
「馬」は、陶磁器の世界でも古くから人気の高い題材のひとつで、文様としてたくさん描かれてきました。中国は明時代十七世紀に、皇帝の官窯(かんよう=お抱え窯)であった景徳鎮(けいとくちん)窯で作られた作品に「天啓群馬(てんけいぐんば)文皿」なるお皿があります。お皿の上方に雲と空、下方に水辺、両側に草原、そこに躍動感あふれる複数頭の馬が描かれたもの。明るい自然の風景に生き生きとした馬の姿は、縁起のよさを感じさせ、古典文様として中国だけでなく、日本でもずっと描き継がれています。作品名についている「天啓」は当時の元号ですが、天啓には「天の導き」「天の教え」といった意味がありますので、さらに吉祥(おめでたい兆し)を感じさせます。
日本では、江戸時代に磁器が広がりました。中国文化の影響を受けながら、日本独自の文化も育ち、さまざまな文様が描かれた磁器(肥前磁器)が登場しています。縁起を担ぐ江戸文化は、多様な吉祥文様(おめでたい文様)を生み出しました。そのひとつに、馬の群れを描いて「うまくいく」と洒落たものがあります。描かれる馬が九頭なら「馬(うま)九(く)」行く、の語呂合わせで尚良し。
日本でも中国でも、古くから人々のパートナーとして生活の近くに馬の存在があればこその縁起担ぎ。せっかくならば、味方につけたいものです。「陽」の気に恵まれるらしい二〇二六年が「うまくいく」ように、この一年、馬モチーフのものを身近において楽しんでみてはいかがでしょうか。
![]()
【藤吉憲典作 うまくいく群馬皿】
![]()
![]()
花祭窯おかみ・ふじゆり(藤吉有里)
「古伊万里」の名で知られる肥前磁器の伝統工芸文化、技術を基にした窯元「花祭窯」のお内儀。おかみとして窯を支えつつ、自らもアートエデュケーターとしてMeet Me at Artを主宰する。
一覧