ふじゆり的読書『ハックルベリー・フィン』と『ジェイムズ』 New!

こんにちは。花祭窯おかみ&アートエデュケーターふじゆりです。

我が家では、紙の新聞を購読しています。毎週末、見開き一ページを使って掲載される「書評コーナー」が楽しみのひとつです。一般的な新刊紹介に加え、地元のカリスマ書店員さんのお薦め本、地方出版社からの発刊書紹介などもあり、とても面白いです。

先日、その書評コーナーで見つけた『ジェイムズ』(河出書房新社)という本が、気になりました。書評によると、米国文学『トム・ソーヤーの冒険』で知られるマーク・トゥエインが書いた『ハックルベリー・フィンの冒険』を、語り手(主人公)を変えて書いた小説だとのこと。『ハックルベリー・フィンの冒険』は、主人公である、貧困層に生まれた白人ハックと黒人奴隷ジム(ジェイムズ)の冒険物語です。ハックの視点で描かれた物語を、『ジェイムズ』ではジムの視点で描き直しています。著者は、アフリカ系アメリカ人作家のパーシヴァル・エヴェレット氏。

興味を持ったものの、わたしは『ハックルベリー・フィンの冒険』を読んでいませんでした。なのでまずは『ハックルベリー・フィンの冒険』を読むところからスタート。あらすじが頭に入ったところで、続けて『ジェイムズ』へ。

両書とも、奴隷制度時代の米国への痛烈な社会批判を含んでいます。冒険小説というよりは、社会小説だと感じました。そして、白人視点で描かれた物語を読んだ後に、黒人視点で描かれたものを読むことによって、読み手たる自分のなかにあった無意識の思い込みを突き付けられるという、少々ハードな読書体験となりました。

『ハックルベリー・フィンの冒険』は『トム・ソーヤの冒険』の続編的な本ですが、実はわたしは『トム・ソーヤの冒険』も読んでいませんでしたので、この機会に、ジム→ハック→トムとさかのぼってみようと思います。このような広がりも、読書の醍醐味ですね。


花祭窯おかみ・ふじゆり(藤吉有里)

「古伊万里」の名で知られる肥前磁器の伝統工芸文化、技術を基にした窯元「花祭窯」のお内儀。おかみとして窯を支えつつ、自らもアートエデュケーターとしてMeet Me at Artを主宰する。

花祭窯(はなまつりがま)
ふじゆりスタイル

一覧

執筆: | 公開: