読書紹介 アランの『幸福論』。

こんにちは。花祭窯おかみ&アートエデュケーターふじゆりです。

今回は「日日是好日」のテーマに合う(と、わたしが考える)本の紹介です。「日日是好日」をどう解釈するか、本の内容をいかに読み取るかは人それぞれですが、その違いもまた面白さ。

さて、アランの『幸福論』。実は三年ほど前に、このコラムでも一度ご紹介しています。が、真っ先に頭に浮かびましたし、読者の皆様には初めましての方々もおられると思いますので、あらためて。

読んだことはなくても、タイトル名あるいは著者名を聞いたことがある、という方は多いのではないでしょうか。フランスの哲学者・アランによる古典的名著です。日本でも、いくつもの出版社から、たくさんの翻訳版が出ています。なかでもわたしのお薦めは、日経BP社から出ている、村井章子さん訳のもの。お薦めの理由は、なんといっても読みやすさです。読むというよりは、見るという感じで、ユーモアもあり、哲学書の堅苦しさはまったくありません。

肝心の中身にはどんなことが書いてあるかといえば、まず裏表紙から「もう深刻ぶるのはやめてのんきにやろう」とはじまります。パラパラとページを開けば「幸福だから笑うのではない、笑うから幸福なのだ」「情念から私たちを解放してくれるのは、思考ではなく行動なのである」「自分の手の届かないところまで考えないほうがいい」などの言葉が飛び込んできます。これは「禅」の教えと同じだなぁ、と感じられるものも少なからず、洋の東西を問わず辿り着く真理の面白さがあります。

一ページ目から順に読んでいく必要もありません。気が向いたときに、パッと開いたページの言葉に注意を向けてみる、という使い方も楽しいかもしれません。気楽に日常的に活用してほしい本です。

これから定期的に、「日日是好日」のテーマに合う(と、わたしが考える)本のご紹介をして参ります。どうぞお楽しみに。


花祭窯おかみ・ふじゆり(藤吉有里)

「古伊万里」の名で知られる肥前磁器の伝統工芸文化、技術を基にした窯元「花祭窯」のお内儀。おかみとして窯を支えつつ、自らもアートエデュケーターとしてMeet Me at Artを主宰する。

花祭窯(はなまつりがま)
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