こんにちは。花祭窯おかみ&アートエデュケーターふじゆりです。
佐賀県の里山に少し土地があり、家庭菜園ならぬ家庭果樹園にしたいと企んでいます。花祭窯を最初に開いた場所で、十五年ほどここで暮らしました。福岡に移転してからも、たびたび足を運んでいます。いわゆる限界集落で、年々高齢化が進み、就農者も減るばかり。訪れるたびに作付けされない畑が増えるのを見て、時代の流れには逆らえないのだと感じていました。
ところが数年前の秋の日、荒れていた段々畑が一面のコスモス畑になっていたのです。驚いて馴染みのご近所さんに聞いたところ、若い方々が、耕作者を失った畑を借りてイチゴ栽培をはじめたとのこと。イチゴのビニルハウスの周りの空き地に、秋はコスモス、夏はヒマワリを植えて、景色を楽しめる場所にするらしいというのです。思いがけない展開に、嬉しい気持ちがこみ上げてきました。
そのイチゴ畑では、春にイチゴ狩りイベントをしていて、イチゴ狩り体験がてら、主宰者の方にお会いすることができました。聞けば畑を借りるのも、イチゴのハウス栽培をするのも、地主さんとの交渉、資金繰り、人手の確保と難題山積だったとのこと。楽しくて、やりがいもあるけれど、甘くない。今は事業を安定継続させるのに必死だと、話してくださいました。
そんなお話を聞き、この里山で微力ながらわたしたちに出来ることは、まずは自分たちの土地を荒れさせることなく維持することだと思いました。楽しく、出来るだけ無理なく取り組める方法をと考えて辿りついたのが、小さな果樹園計画。収穫の楽しみは、大きなモチベーションになります。すでに梅、栗、カボスなどの木がありますので、これに毎年一~二本づつでも果樹を増やしていけたらと。里山で暮らした経験から、土地に合うものは育つ(合わないものは、頑張っても厳しい)とわかっています。気負わずコツコツ、美味しい収穫を目指します。
花祭窯おかみ・ふじゆり(藤吉有里)
「古伊万里」の名で知られる肥前磁器の伝統工芸文化、技術を基にした窯元「花祭窯」のお内儀。おかみとして窯を支えつつ、自らもアートエデュケーターとしてMeet Me at Artを主宰する。
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