その41「好きな小説BEST30」

こんにちは。花祭窯おかみ・ふじゆりです。

お友だちが「好きな小説BEST100」をSNSにアップしていました。100冊。選ぶのも順位つけるのもたいへんそう…と訊ねてみたら、案の定たいへんだったようです。でも、自分の志向(嗜好)の再確認が出来て面白かったということで、わたしも真似することに。ただし30冊まで。

記憶のある幼少期からの読書を対象に、頭に浮かぶところから羅列してみました。タイトルが不確かだったものも少なからず、検索して確認しつつ。

特に昔読んだものは、ストーリー全体を覚えているものもあれば、ワンシーンだけが強烈に残っているものもあり、はたまた内容はほとんど覚えていないのに当時の読後感だけがはっきりと思い出せるものもあり、あるいは印象的なセリフだけを覚えているものもあり…。

1)くまのプーさん(A.A.ミルン/石井桃子訳)
2)プー横町にたった家(A.A.ミルン/石井桃子訳)
3)楽園のカンヴァス(原田マハ)
4)日の名残り(カズオ・イシグロ)
5)アンナ・カレーニナ(トルストイ)
6)グレート・ギャッツビー(フィッツジェラルド)
7)神の火(高村薫)
8)黄金を抱いて翔べ(高村薫)
9)照柿(高村薫)
10)人間失格(太宰治)

11)お父さんのバックドロップ(中島らも)
12)優しくって少しばか(原田宗典)
13)ひとまねこざる(H.A.レイ)
14)風にのってきたメアリー・ポピンズ(トラヴァース)
15)超老伝-カポエラをする人(中島らも)
16)サロメ(原田マハ)
17)サロメ(オスカー・ワイルド)
18)恋(小池真理子)
19)バックミラー(星新一)
20)妊娠カレンダー(小川洋子)

21)変身(カフカ)
22)15の夏(佐藤優)
23)蟹工船(小林多喜二)
24)ミザリー(スティーヴン・キング)
25)ハプスブルグの宝剣(藤本ひとみ)
26)イタリア・ルネッサンス(塩野七生)
27)手袋を買いに(新美南吉)
28)おおきなかぶ(ロシア民話)
29)蜘蛛の糸(芥川龍之介)
30)ジキルとハイド(スティーヴンソン)

あたりまえかもしれませんが、どうしても最近読んだものが順位に入りやすいですね。パッと思い出せなかったけれど、ほかにももっとあったはず、という気持ちも残りました。

ちなみに今回は、タイトルが浮かんだ順に書き出し、あらためて順位を付け直してはおりません。なので別の日にベスト30を上げ直したら、順位も顔ぶれも大幅に変わる可能性大。

それにしても、何の手掛かりも無しにタイトルが思い浮かんだ「昔読んだ本」は、自分にとって余程インパクトが大きかった本なのでしょうね。本を通して自分の歴史をちょっぴりのぞき見。それぞれの本の一言コメントは、また機会を見つけてご紹介したいと思います。

<日常の禅語>知足(ちそく)
 「足るを知る」です。人の欲は際限が無いけれど、今既に持っているもので、満足なはずなのだよ、という教え。

ところが20年近く前、あるお坊さんの書いた本のなかに、一見これと全く逆に見える教えを見つけました。いわく「『あれか、これか』ではなく『あれも、これも』」。なにかを選ばなければならない場面で迷ったときは、無理にひとつに決めるのではなく、どちらも残せば良い、というのです。

 『あれも、これも』とは欲張りな発想なのではないか?と思ったものの、試しにその考え方を取り入れてみました。選択に迷ったら、まず「どちらも残すことができるのでは?」と自問します。すると「選ばなければと思い込んでいたけれど、実はそうでもなかった」ことがいくつも見えてきました。「どちらかに決めなければ」という思いを手放すことによって、自然としかるべき結果が導かれることが増えてきました。

 そのお坊さんの本には「あなたが決めても決めなくても、結果は一緒」というようなことも書いてあり、読んだ時は「そんな無責任な」と思ったのですが、実体験としてそういうことがあるとわかってきたのです。自分をがんじがらめにしていたのは、「わたしが決めなければ」という、ある種の支配欲だったのですね。

 わたしたちの日常は決定の連続。最近は「決定疲れ」なんて言葉も聞くようになってきました。無理のない範囲で「選択や決定」を手放し「任せる」のも、ときには有りかもしれません。


花祭窯おかみ・ふじゆり(藤吉有里)

「古伊万里」の名で知られる肥前磁器の伝統工芸文化、技術を基にした窯元「花祭窯」のお内儀。おかみとして窯を支えつつ、自らもアートエデュケーターとしてMeet Me at Artを主宰する。

花祭窯(はなまつりがま)
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