その27「プロフェッショナル」

こんにちは。花祭窯おかみ・ふじゆりです。

主人の「陶芸作家」という仕事上、たまに雑誌やテレビなどの取材を受ける機会があります。先日は久しぶりにテレビの撮影が入りました。番組の企画書を拝見し、趣旨に共感して取材をお受けしました。30分番組のうちの5-6分があてられるとのこと。ディレクターさんとの打ち合わせに半日、技術の方々(音声さん・照明さん・カメラさん)が揃っての撮影は約1日半。合わせて丸二日かけての取材でした。

5-6分の放映用に、これだけの時間と労力をかけておられるということは、番組全体を作り上げるのにどれだけ時間がかかるのだろうと、思わず換算してしまいました。聞けば、1本(30分)の番組を企画から完成まで仕上げるのに、毎回約3ヵ月かかるそうです。もちろんこれは「その番組の場合」です。そういえば以前に福岡の地方番組で歌手の前川清さんがいらっしゃったときは、2時間ほど花祭窯で遊んでおられて、放送時間は1時間番組のうち20分近くもあり、びっくりしたことがありました。

今回の取材、スタッフの皆さんそれぞれが、とてもプロフェッショナルで丁寧な仕事をなさっていました。インタビューの際には、話下手な相手から根気強く話を引き出す質問の工夫や優しさが感じられましたし、技術職の方々の「美しく、伝わる映像」へのこだわりなど、思いの強さが感じられました。この仕事に関わることができたのは良い経験だったと思えました。あとは、1日半の撮影がどのように編集されて5-6分になるものやら、というところ。ちょっぴり怖い気も致しますが、そこはディレクターさんとの信頼関係です。陶芸作家の仕事の美点が番組に反映されていると良いな、と思いつつ。

このコラムを書いている現時点ではまだ情報解禁できず、残念ながら番組名を出せません。読者の皆さんがお読みになるころには、どんな番組に仕上がっているか、結果が出ているはず。ドキドキしつつも、楽しみにしているところです。

<日常の禅語>脚下照顧(きゃっかしょうこ)

「靴を脱いだら揃えましょう」子どもの頃から何度も教えられた言葉です。ひいては「足元をよく見て、整えましょう」につながります。単に「靴を揃える」だけでなく、その所作を通じて「自分を支えている根っこ」を見つめ直し、整える機会とする…すごいことだと思いませんか?

あるプロ野球選手は、高校時代恩師から「靴を脱いだら揃えろ」「自分の靴だけでなく皆のも揃えろ」と厳しく言われていたそうです。恩師の方によると、才能あふれるその選手がプロデビューしたときに、もしプロとして成功できないことがあるとしたら、それは自分を支えてくれる存在を忘れて傲慢になったときだと考え、そうならないようにという一心だったそうです。「傲慢になるな」と言葉で伝えるのではなく、「靴を揃える」という作務で伝えることで、体が覚える(体に染みつく)のですね。そのプロ野球選手は高校卒業から12年目の今年も大活躍を続けています。


花祭窯おかみ・ふじゆり(藤吉有里)

「古伊万里」の名で知られる肥前磁器の伝統工芸文化、技術を基にした窯元「花祭窯」のお内儀。おかみとして窯を支えつつ、自らもアートエデュケーターとしてMeet Me at Artを主宰する。

花祭窯(はなまつりがま)
ふじゆりスタイル

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