その26「額縁」

こんにちは。花祭窯おかみ・ふじゆりです。

部屋の片づけをしていた息子が「こんなの出てきたけど」と持ってきたのは、小学生のとき図工で制作した木版画。学校での図工や美術の成績はあまり良い方ではありませんでしたが、評価におもねらず思うままに制作する彼の木版画は味のあるもので、せっかくだから飾ろう!ということに。ちょうどぴったりの額縁が手元にありましたので、入れてみました。

どこにでもある市販の額縁に、小学生の版画。それでも額装した途端に「授業の提出物」を「アート作品」に昇格させてくれるのが、額縁マジックです。自分にとって特別なものを額装して飾ると、さらに特別なものになるような気がします。そういえば若い頃は、美術館で好きな絵を見つけては、小さめのポスターや絵葉書を買い求め、額に入れて飾っていました。コピー商品といえども、好きな美術作品を身近に飾れば、視界に入るたびにホッとして心が喜びます。

額縁も高価なものである必要はありません。飾りたいものと、飾る場所の雰囲気に合っていて、自分が「よし!」と思えばそれでOK。今はネットショップでも、さまざまな素材・イメージの額縁が見つかります。もし、飾りたいもののサイズや雰囲気に合う額縁がうまく見つからないときは「額縁やさん」に持ち込んで、飾りたいものに合わせて作ってもらうという手もあります。ちょっとした贅沢ですが、出来上がったときの満足感は大きく、「ここぞ」という時におススメです。

画、写真、書…平面作品ならなんでも、額縁の力を借りてみることができます。ひとつ額装すると、ほかにも飾りたくなってくるので不思議。「額装したいもの=自分が好きなもの、自分にとって大切なもの」にあらためて気づくきっかけにもなります。あなたのまわりに、飾っておきたい絵や写真はありませんか?ちょっとしたことから始まる「アートのある暮らし」。気軽に楽しんでいきたいですね。

<日常の禅語>〇△□(まるさんかくしかく)

今回はちょっぴり遊び心。仙厓(せんがい)さんの描いた禅語(禅画)「〇△□」です。日本最初の禅寺は福岡・博多にある聖福寺(しょうふくじ)。その123世住職・仙厓和尚の描く禅画は、出光美術館コレクションをはじめ多くのコレクターに愛されています。仙厓さんは、画中に解釈の手掛かりとなる言葉(賛文)を載せて、禅の教えを説いていましたが、この「〇△□」には文字が添えられておらず「解釈が難解」なものとされています。

見方を変えれば、仙厓さんは見る人それぞれに解釈を委ねたのかもしれません。諸説ある禅語の解釈は、のちの時代の人々が考えたものであって、それがほんとうに正しい禅の教えかどうかは、お釈迦様にしかわかりません。単純に見える〇△□ですが、筆を持って書こうとすると、その難しさに気づきます。〇ひとつ書くのも至難の業。〇△□から、あなたはどんなことを連想しますか?


花祭窯おかみ・ふじゆり(藤吉有里)

「古伊万里」の名で知られる肥前磁器の伝統工芸文化、技術を基にした窯元「花祭窯」のお内儀。おかみとして窯を支えつつ、自らもアートエデュケーターとしてMeet Me at Artを主宰する。

花祭窯(はなまつりがま)
ふじゆりスタイル

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