ふじゆり的読書『土と生命の46億年史』(講談社ブルーバックス)藤井一至著 New!

こんにちは。花祭窯おかみ&アートエデュケーターふじゆりです。

本に限ったことではないのですが、自分の好きなもの・ことに、できるだけ素直でありたいと思っています。結果、インプットする内容が、偏りがちになります。文系脳なので(と思い込んでいるので)、放っておくと、理系の情報・話題からどんどん遠ざかる。それでは視野が狭くなっちゃうよ、ということで、ときどき意図的に「ふだんなら手に取らないよね!」というものに手を伸ばすようにしています。本書もそのひとつ。

講談社の「ブルーバックス」は、子どもから大人まで楽しめる「一般向け科学シリーズ」を標榜しています。壮大なタイトルのついた本書も、ぐいっと身近なところに引き寄せて解説。語り口もやわらかくて、読みやすい一冊でした。

『土と生命の46億年史』。微生物の偉大さや、植物の仕組みの凄さ、昆虫の逞しさに感心しながら読み進み、その連なりのずっと先に、哺乳類、ヒトであるわたしたちの存在があることが見えてきます。土の研究者である著者の抱く「20万年にすぎない私たちホモ・サピエンスの文明はなぜこんなに早く危機に直面したのか?」という本題が、終盤に行くほど大きな問いとなって、読み手に迫ってきました。例えば温暖化や気候変動の話ひとつとっても、これまでの自分の理解が、いかに近視眼的で表面的に過ぎなかったかを突き付けられる読書となりました。

正直に言えば、著者が伝えようとしていた内容のうちどれだけ理解できたのか、怪しくもあります。ですが、この手の本を「興味深く読んだ」事実だけでも、個人的にはすごいこと。苦手なものを無理して取り入れる必要は感じませんが、こんなふうに世界が面白く広がるのならば、たまにはふだんの自分の枠を超えたところまで手を伸ばしてみるのも良し、ですね。


花祭窯おかみ・ふじゆり(藤吉有里)

「古伊万里」の名で知られる肥前磁器の伝統工芸文化、技術を基にした窯元「花祭窯」のお内儀。おかみとして窯を支えつつ、自らもアートエデュケーターとしてMeet Me at Artを主宰する。

花祭窯(はなまつりがま)
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