その34「2021年読書 ふじゆり的ベスト5!」

こんにちは。花祭窯おかみ・ふじゆりです。
半年ごとの恒例行事、2021年の読書記録振り返り。「2021年読書 ふじゆり的ベスト5!」をご紹介いたします。

第5位『起業の天才!江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男』(東洋経済新報社)大西康之 著
上半期に読んだもののなかから、唯一のランク入り。著者のジャーナリスト魂を感じる大作です。

第4位『キリギリスのしあわせ』(新潮社)トーン・テレヘン著、長山さき訳
オランダから届いたお話。短編童話といっていいのかしら?不条理な感じのお話もありつつ、説教臭さが無いのが魅力です。

第3位『コラージュ入門』(一麦出版社)藤掛明著
心理療法としてのコラージュの専門家が、美術的アプローチをする人のために書いてくださったコラージュの入門書。

第2位『グレゴワールと老書店主』(東京創元社)マルク・ロジェ著、藤田真利子訳
アフリカ生まれの著者がフランスから届けてくれた本。青年と老人の「本の音読」を通じた交流の物語。朗読の持つ力が伝わってくる物語です。

第1位『アートのなかでかくれんぼ1 ルーブル美術館でさがせ!』(フレーベル館)ニコラス・ピロー作/木村泰司日本語版監修
名画に隠れた名作を探す絵本。既刊3冊の第一弾は、ルーブル美術館蔵のヒッポ(Hippo=カバ)を探せ!。続く2作は、オルセー美術館バージョンで「ポンポンのシロクマを探せ!」。楽しいですよ!

2021年は楽しみにしていたカズオ・イシグロ最新作『クララとお日さま』(早川書房)が発刊されました。もちろん読みましたし、感銘を受け、考えさせられました。でもこうして振り返ってみると「わたしにとって、もっとインパクトのあった本」が何冊もあったことがわかります。やっぱり本との出会いは面白いですね。

<日常の禅語>一(いち)〇(円相図 えんそうず)

実はこの原稿を書いているのは2021年の11月。昨晩は「満月に(ほぼ)皆既月食」を見ることができました。通常約29日かけて行われる月の満ち欠けを、短時間に圧縮したような天体ショー。眺めながら頭に浮かんだのが、一つの円を描いた禅画「〇」です。

円満な悟りの境地を表すものとして、多くの禅僧が書いて(描いて)きた題材です。シンプルですが、悟りの境地、宇宙の真理、すべてのはじまり…解釈はいろいろと出てまいります。〇ひとつ。あなたはどのように解釈しますか?

わたしは月食を見ながら、すべてはなるようになるのかも、と感じました。満月に見える時間はほんのいっときで、常にどこかが欠けているけれど、新月(ゼロ)から再スタートし円満に至る繰り返しは、人の生きざまそのものかもしれないな、と。


花祭窯おかみ・ふじゆり(藤吉有里)

「古伊万里」の名で知られる肥前磁器の伝統工芸文化、技術を基にした窯元「花祭窯」のお内儀。おかみとして窯を支えつつ、自らもアートエデュケーターとしてMeet Me at Artを主宰する。

花祭窯(はなまつりがま)
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