体験から何かを得ようとしなくても「それはたしかにそこにある」。 New!

こんにちは。花祭窯おかみ&アートエデュケーターふじゆりです。

わたしが「博物館学芸員資格課程」に編入学したのは十数年前、四十代に入ってからでした。二年間、専門分野のカリキュラムを学び、必要な単位を取得します。わたしの場合は通信制大学でしたが、合否判定につながる各科目のレポート提出や、リアル会場での試験がほぼ毎月。さらに規定期間の現場=博物館実習を修めたうえで、学芸員資格課程の修了証を得ることができます。

学芸員課程で学ぶに至ったそもそもの動機は、花祭窯のおかみとして「工芸(史)や美術(史)の文脈の上で、物事を理解し言葉にできるようになりたい」でした。それまでに十年以上、窯元おかみの仕事をしてきましたが、いわば「現場たたき上げ」。現場経験を補完したいと思ったときに、美術や工芸の基礎を体系的に学ぶには、博物館学芸員のカリキュラムが最適と考えたのでした。結果としての資格取得は、そのオマケのようなもの。とはいえ、わたしにとっては少なからぬ時間とお金を投資して得た学びと資格。いずれはマネタイズに生かさなければという思いが無かったといえば、嘘になります。

さて十年以上が経った今どうかといえば、「生かさなければ」という思いはさほどありません。というのも、そんなふうに考えなくても、それは実際に自分の中にあって一緒に育っているから。見た目にわかりにくいし、言葉では説明しにくいし、無自覚なことも多いけれど、確かにあると分かるようになってきました。

そしてもう一つ、学芸員課程で勉強をしていた時間は、時間のやりくりはたいへんなこともあったけれど、とても楽しく面白いものでした。将来のためのなにか、である以上に、その時その場での学びが大きな喜びであり、価値だったのです。なにかをしようとするときに、「○○のため」という布石がなくても良いということを、共通認識にしていけたら嬉しいな、と思う今日この頃。まずは自分からスタートしようと思います。


花祭窯おかみ・ふじゆり(藤吉有里)

「古伊万里」の名で知られる肥前磁器の伝統工芸文化、技術を基にした窯元「花祭窯」のお内儀。おかみとして窯を支えつつ、自らもアートエデュケーターとしてMeet Me at Artを主宰する。

花祭窯(はなまつりがま)
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