その13「我が家の台所道具」

こんにちは。花祭窯おかみ・ふじゆりです。

金工作家のお友だちに注文していた「おろしがね」が届きました。見本で拝見した姿形の美しさに一目惚れして、つくっていただいたもの。

わたしは道具にこだわる方ではありませんが、なんでもボロボロになるまで長く使います。台所の道具も、10年以上は当たり前、結婚前から20年以上使い続けているものも珍しくなく、古い道具を譲り受けて使っているものも少なからずあり、そうなると50年選手も。そのような性質(たち)なので、無意識に「長く使えそうなもの」を選ぶ癖がついているかもしれません。そんな我が家にやってきた、新しいおろしがね。

真鍮(しんちゅう)の本体に錫(すず)を引いたおろし面。持ち手には木をかぶせてあります。握りの太さ、持ち上げたときの軽さ、おろし面の広さ、きめの細やかさ…まずは手に持ってしっくりくる感覚に頬が緩みます。

実際に大根おろしをつくってみると、これまでに比べてほとんど力が要らないことにびっくり。やわらかくきめ細やかな大根おろしが出来上がりました。使い終わって洗うときも、流水でほとんどきれいになり手間いらず。これは素晴らしい買い物をしたと、すっかり嬉しくなりました。

窯元おかみの仕事柄、器ギャラリーさんとのおつきあいが長く、作家ものと呼ばれる手仕事の美しい道具を見る機会に恵まれています。20年以上そのような環境にあって漠然と感じているのが、見た目に美しい道具には、使い勝手の良さを兼ね備えているものが多いということ。

とくに「手に持って扱う」ことの多い道具には、手仕事の意味と良さが出ます。これは、やきもの(陶磁器)に限らず、金属でも木工でも漆でも布ものでも。実際の生活場面でどのように生かされるかをイメージする想像力と、それを形にする創造力の有無が、作り手に問われます。

我が家の台所道具に仲間入りした新しいおろしがね。毎日の台所仕事が楽しみになるアイテムがひとつ増えました。これから何十年活躍してくれることか、ワクワクしています。

5月の花遊び:カーネーション

5月10日は母の日。切り花のカーネーションが出ていたので、買ってきました。同じ花を束で活けるときは、花器の正面から奥に向かって、花の高さを低め(前方)から高め(後方)に変えていくだけでも、まとまり感を出すことができます。色の違うものがあれば、いくつか散りばめると、動きが出て楽しくなりますね。


花祭窯おかみ・ふじゆり(藤吉有里)

「古伊万里」の名で知られる肥前磁器の伝統工芸文化、技術を基にした窯元「花祭窯」のお内儀。おかみとして窯を支えつつ、自らもアートエデュケーターとしてMeet Me at Artを主宰する。

花祭窯(はなまつりがま)
ふじゆりスタイル

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