その12「いつも通り」

こんにちは。花祭窯おかみ・ふじゆりです。

新年度。生活環境やリズムが変わった方もいらっしゃるのではないでしょうか。変化の大きいときほど、いつもと変わらない何気ないもの・ことが大切だと、よく思います。

いつものお茶碗でご飯を食べる、いつもと同じ時間に歯を磨く、いつもと同じ入浴剤でお風呂に入る、毎朝必ずコーヒーを淹れる…など、ちょっとしたことでOKです。生活のなかに「いつもと同じ、これまでと同じ」があることは、大きな変化のなかで自分のペースを守る手助けになると感じています。

自らを振り返ると、大学を卒業して新社会人となった四月が、最も大きな変化を感じた四月だったと思います。田舎の大学生から、都会のサラリーマンへ。

仕事はもちろん生活もがらりと変わり、無我夢中の毎日でした。自ら選び、与えられた場所で、自分に何ができるのか、どれほどできるのか。社会人としてお給料をいただくことの意味と価値と責任を考え、身をもって知った四月でした。

さて現在、主人が陶芸家=好きなことを仕事にしているので、若い方から「やりたい仕事が見つからない」「好きなことでやっていけるのか」など、ご相談を受けることがときどきあります。親御さんからの「子どもがアート系の仕事につきたいと言っているが、そんなに甘くないのでは」というご相談も。お話を聞いていて感じることは、若い方々のなかに「自分のやりたいこと」のイメージにこだわりすぎて就職しない(できない)方が少なくないということ。

就業経験の浅い方には「まずは、目の前にある仕事をやってみたら?」とお話しします。なぜなら、その仕事が自分の好きな仕事かどうかは、実際にやって見なければわからないから。それに「この仕事をやりたい!」と思っている仕事が、ほんとうにイメージ通りのものであるかどうかも、実際にやってみないとわかりません。

とにかく「世の中にはまだ自分の知らない職業がたくさんある」のだということを、まず知って欲しいなと。と同時に、ほんとうにやり抜く覚悟を持って取り組めば「好きなことは仕事になる」ことを、自分たちが示していけるように、わたしたちもしっかり頑張っていきたいと思っています。

4月の花遊び:紫色の花

名前がわからないのですが、毎年暖かくなってくると、細いツル状の茎が伸びてきて、紫色の花を咲かせてくれます。庭に自生しているものを切ってきました。つる植物はコントロールが難しいので、横に寝せてしまいます。横長の花器がないときは、鉢に水を張ってツルをくるくると巻いて浮かべてもいいですね。無理なくゆったりと、花の方向だけ整えたら、完成です。


花祭窯おかみ・ふじゆり(藤吉有里)

「古伊万里」の名で知られる肥前磁器の伝統工芸文化、技術を基にした窯元「花祭窯」のお内儀。おかみとして窯を支えつつ、自らもアートエデュケーターとしてMeet Me at Artを主宰する。

花祭窯(はなまつりがま)
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